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打ち抜き加工技術

打ち抜き加工技術とは、両面テープ・フィルム・クッション・金属箔などの比較的低硬度の材料を、必要に応じて貼り合わせを行い、ビク(トムソン)型・ピナクル型・プレス型に代表される金型を材料に押し付ける事で、必要とされる形状を作り出す加工技術です。ビク型・ピナクル型の加工は、お菓子作りで用いられるクッキー生地を、型を利用して抜き取る様をイメージしていただくとわかりやすいです。
 
この加工技術は、高い量産性と精度に加え、汎用性も極めて高いため、様々な製品製造で用いられています。
 
当社は、時代に合わせて変わっていく、「新たな材料、新たな構成、より高い精度」といったお客様のニーズを、打ち抜き加工技術を磨くことで実現してまいりました。今後も、ますます高まるニーズに応えるため、未来の打ち抜き加工技術の確立を目標に、日々試行錯誤を繰り返しています。

打ち抜き加工技術の種類

打ち抜き加工の工程例

打ち抜き工程 概要図

当社の打ち抜き加工の概要図になります。
当社で設計した指示書をもとに、事前に必要な材料を必要な幅にカット、貼り合わせ等を行い打ち抜き加工機に投入します。
その後、投入された材料は、必要に応じて複数回打ち抜き加工され、不要な部分の除去、機能性材料の貼り込み等を行い、
最終的にシートカットを行うことで、製品として完成します。

このように一連の作業を連続的に処理できるよう、設備を効率的に配置しております。
当社ではこの生産設備を総称して「ワンライン」と呼んでおります。
この仕組みにより、生産効率が高まりコストを抑えた大量生産が可能になっております。

画像:打ち抜き工程 概要図

打ち抜き・・・主に型を使用して加工すること。

カス上げ・・・不要部を除去すること。

セパ上げ・・・セパレーター上げの略称で、不要なセパレーターを除去すること。

材料貼り込み・・・セパ上げ後、テープの糊がむき出しになるため、その製品に適した機能性材料を貼り込むこと。

シートカット・・・製品が貼りついているシートを任意のサイズにカットすること。

各工程毎の加工状態

以下の図は、材料投入されてから最終的な形状に仕上がるまでの間で、材料がどういった変化を辿るのかを分かりやすく視覚化したものとなります。

異なる様々な材料形状が複合するような製品の加工を行う場合、一般的に複数の段階に分けられた種々の打ち抜き加工が順を追って行われますが、当社ではこれまでの培ってきた経験や技術を活かし、完成までに必要となるそれら一連の作業を「ワンライン」化させています。
また、そういった工夫により生産効率が高まり、コストも抑えた大量生産を実現させております。

画像:各工程毎の加工状態

打ち抜き加工の金型説明

  • ビク型

    画像:ビク型

    ビク型(別名トムソン型)は、ベニヤや樹脂などのダイボードにレーザーで溝加工を施し、その溝に刃物を埋め込むことで作られたものになります。

    両面テープ、フィルム、クッション、金属箔、紙など様々な機能性材料の打ち抜き加工に使用されています。
    比較的短納期かつ安価で作成できることに加え、摩耗などで劣化した刃をダイボードから取り外して新品の刃に交換をすることも可能であり、保守性にも優れております。
    ただ刃につなぎ目があり、高い精度が求められる場面には少し不向きとなっています。

  • ピナクル型

    画像:ピナクル型

    ピナクル型はビク型 (別名トムソン型)と異なり、金属にエッチング加工を施し、特殊な技法で刃先を作成しております。

    両面テープ、フィルム、クッション、金属箔、紙の中でも比較的薄く、低硬度な材料の打ち抜き加工に使用されています。
    ビク型と比較して高価にはなりますが、刃のつなぎ目の問題の解消だけでなく、ビク型では作製できない複雑な形状にも対応できる強みもあり、寸法精度や精密性において非常に優れています。
    また刃の角度等の細かい調整も可能であり、様々な材料に適応しています。
    一方でビク型とは異なり、刃の交換ができないため維持コストが高くなってしまう側面はあります。

型の特長

型名ビク型ピナクル型
作成方法刃を加工後カットして
ダイボード(ベニア板)に装着
エッチング加工後に
刃をシャープニング加工(研磨)
作成費用
作成期間
加工精度(つなぎ目有)(つなぎ目無)
寿命

ピナクル・プレス型

プレス型でガイド穴(基準穴)や小径の穴をあける

画像:ピナクル・プレス型

ピナクル・プレス型とは、ピナクル型とプレス型を組み合わせた型になります。

冒頭でも述べた通り、様々な材料形状が複合した製品を加工する場合、複数回にわたる打ち抜き加工が必要になります。ピナクル・プレス型は主に、その内の次工程以降で用いられる基準穴の打ち抜きと、その際に生じる穴カス除去を行う場面で用いられます。
また基準穴の打ち抜きとしての用途だけに限らず、貫通箇所がある製品の加工としての用途にも多く使用されています。
初期費用は高くなりますが、穴カス除去を手作業で行う手間が省ける分、長期的にみればコストが抑えられることになり、量産品の加工に適した型であるといえます。

ピナクル・パイロット型

パイロットピンの付いた金型と受けの金型セット

画像:ピナクル・パイロット型

ピナクル・パイロット型とは、ピナクル型とパイロットピンと呼ばれるピンが装着された型になります。

パイロットピンとは、前工程の段階で位置合わせ用に設けておいた基準穴を拾わせる際に用いるもので、この説明からもわかるようにピナクル・パイロット型は2回目以降の打ち抜き加工時での利用が主になります。
パイロットピンを用いて正確な位置合わせを行うことができるピナクル・パイロット型の打ち抜き加工は、高い寸法精度が求められる様々な場面で活用されています。

金型が不要な打ち抜き加工

当社では、金型を使用しない打ち抜き加工を行うための裁断機を保有しております。
この裁断機(スーパーカッター)には1本の刃が装着されており、材料を設定された寸法の矩形形状に連続加工することができます。

加工方法としては、機械に材料をセットし、材料の横軸方向用のパラメータを用いて材料を1度目の自動断裁にかけます。
続いて材料を90度回転させた後、縦軸方向用にパラメータの変更を行い再び断裁にかけることで、連続する矩形形状へと材料を加工していきます。

このように金型を使用する加工方法と異なり、矩形形状に仕上がるまでに複数の段階を踏む必要がありますが、寸法変更の度に金型製作の費用が発生せず、さらには矩形の寸法指定もパラメータの変更だけで完結させられるため、開発段階の試作品や少量生産品の加工の場面で重宝されます。
また金型が不要になるため、短納期での納入も可能になります。

スーパーカッター・・・1本刃による矩形製品の連続加工用

画像:金型が不要な打ち抜き加工1

一列カス取した部分を「耳」と呼んでいます。

こちらは、当社のノウハウに基づいた取り組みでございます。
先ほどご説明申し上げました断裁機は、互いに直交する材料の2つの軸に沿って材料を動かしながら断裁を行います。
しかしこのような連続加工には、材料に刃が入る度に累積していくミクロンオーダーの位置ずれの問題が付随します。
特に、両面テープやテープ付きの材料の加工においては、それがセパレーター(台紙)部からの糊のはみ出しという別の問題を引き起こし、製品の品質や見た目に影響を与えることになってしまいます。

この問題を解消するため、当社では「耳」と呼ばれる部分を一箇所作成し、材料の位置ずれをセパレーター内部で抑える工夫を施しております。
また「耳」を設けたことは、セパレーターから簡単に製品を剥がすことを可能にし、お客様が手に取る製品の品質の向上だけでなく、使いやすさの向上にも寄与しています。

画像:金型が不要な打ち抜き加工2

総抜き(フルカット)、半抜き(ハーフカット)について

当社では、上記でご説明した加工方法として「総抜き加工(フルカット)」および「半抜き加工(ハーフカット)」の両方に対応しております。
以下に、それぞれの加工方法について詳しくご説明いたします。

総抜き加工(フルカット)

総抜き加工とは、材料を貫通させて打ち抜く加工方法です。
 
こちらの加工方法では、シート納入では取り扱いが難しい製品や、最初から穴を除去しておく必要がある製品など、お客様のニーズに合わせた形状をご提供することが可能です。

半抜き加工(ハーフカット)

半抜き加工とは、材料を貫通させずにセパレーター(台紙)を残したまま加工する方法で、総抜き加工と比較して作業者に技術力が求められる加工方法になります。
 
こちらの加工方法は、複数の製品が同一シート上に配置されることになるため員数管理がしやすく、さらにコスト面でも優れているメリットがあります。
また以上の理由から、この半抜き加工は当社が標準採用する加工方法の一つとなっております。

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