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技術コラム

2024/7/5(金)

製造業DX – 当社の取り組み

DX – デジタルトランスフォーメーションは、

“デジタルテクノロジーを使用して、ビジネスプロセス・文化・顧客体験を新たに創造して、変わり続けるビジネスや市場の要求を満たすプロセスである。”[出典 Wikipedia]

と定義づけられています。
コラム2回目にして早くも「技術コラム」と呼べるのか? と疑問のある内容となってしまいますが、当社での取り組みをご紹介させていただきます。

 

近年のIT投資

上記の定義づけの通り、「IT導入=DX」ではありませんが、近年当社では以下のようなIT投資を実施しております。

  • 2022-09: 勤怠・人事・労務・給与計算のシステム導入
  • 2022-12: 昼食お弁当注文クラウドシステムの導入
  • 2023-01: サイネージ運用のクラウド化
  • 2023-04: Microsoft365導入(Teams・SharePoint・OneDrive・Exchange)によるコミュニケーションの円滑化
  • 2023-05: 基盤サーバー入替によるセキュリティリスクの低減および権限管理運用の適正化
  • 2023-05: ネットワークインフラ刷新によるセキュリティリスク低減と構内Wi-Fi環境改善による利便性向上
  • 2023-09: MDM導入によるITリソース管理コストの低減と適正化
  • 2023-11: 遠隔拠点との専用線廃止・VPN化によるコスト低減
  • 2023-12: 生産現場へのiOS端末導入
  • 2024-01: コーポレートサイトの刷新
  • 2024-03: RPA導入による業務効率化
  • 2024-04: 会計システムの刷新(オンプレ⇒クラウド)
  • 2024-10: EDR導入によるセキュリティリスクの低減(予定)

改めて振り返ってみると、なかなかのスピード感で導入が進んだものだなと思いますが、ここに記載した内容は一見してバックオフィス系であり、当社の生業である製造に直結した投資がないように思われるかもしれません。

 

基幹系システム(ERP)刷新

当社では基幹系システムの刷新に向けて2022年より活動を開始し、現在導入間近のところまで進捗してきております。
現在の基幹系システム(現在も利用中ですが)は、オフコンによる、「生産管理・倉庫管理・購買管理・販売管理・会計管理(一部)」を統合したERPと呼べる仕組みとなっていますが、製造業として肝になる在庫管理に大きな課題を抱えており、刷新の決断に至りました。

 

[ロール材・シート材]加工業固有の在庫管理

この「在庫管理の大きな課題」は、在庫の単位にかかわるものです。在庫管理の単位とは例えば、

  • 水: 1リットル
  • ケーキ: 2
  • ロープ: 5メートル

と、それぞれのアイテムに対する単位は1つであることが通常です。
しかし、当社が行っているロール材・シート材の加工業における在庫管理では、

  • 両面テープ: 幅100ミリ × 長さ50メートル × 1ロール
  • スポンジ: 幅2000ミリ × 長さ1000ミリ × 3シート

と、1つのアイテムに対して3つの切り口での在庫管理単位が必要であり、この点が現システムでは一律に「面積=㎡」で管理されているため、システム上は「在庫量=面積」が十分にあっても、現品を確認しないと生産投入可能な幅・長さの在庫があるのか判断できないという結果に至っています。
この課題は、ロール材・シート材の加工業であれば、どの業種においても頭の痛いポイントだろうと思うのですが、世間一般のERPではここを解決するソリューションは思いのほか見つからず、「提案依頼書の作成、プレゼンテーションの確認、1次選定、デモ確認」を経てのソリューション決定には難儀をいたしました。

 

IT投資と基幹系導入

ちょっと話がそれましたが、近年実施していたIT投資は、この課題が解決可能なERP導入に向けた準備作業の側面も大きく、特に連動性の高い項目として、「給与計算・Microsoft365・iOS端末・RPA・会計システム」の導入があげられます。
各項目の連動性は、

  • 給与計算:労務費データの原価計算へのフィードバック
  • Microsoft365:Teams・SharePointによる生産活動コミュニケーション
  • iOS端末:クラウド型ERPへの生産実績入力 + Microsoft365インターフェース
  • RPA:受注・出荷等の入力業務の自動化による、新規基幹系のカスタマイズ領域抑制
  • 会計システム:従来基幹系カバー領域の会計機能を含め、新規基幹系とAPI連携 + 原価計算結果のフィードバック

となっており、基幹系をハブとした個々のIT投資の積み上げ導入により、ビジネスプロセス全体の刷新が行われることで、製造業DXと呼べる大きな成果を得ようと、導入開始に向けて日々奮闘中です。

 

終業後、明日の出番を待つiPad

 

まだ、全体構想としては志半ばといった現在ですが、今までに導入したIT投資の副次的効果として、

  • 「うちでもこんなことができるんだ」という驚き
  • 「じゃあ自分も」という未来志向

それぞれの従業員マインドへの効果があった!・・・と思いたい、IT担当の願望を綴ってコラムを締めたいと思います。

 

当コラムを通じて、中小製造業でもこんなチャレンジをしているんだなと、少しでも当社に興味を持っていただけたら幸いです。